あ〜、やってしまった!

* これは今年の六月に日本に帰った時のお話です。


私の実家は非常に辺鄙なところにある。

家の窓を開けると目の前に広がるのは畑ばかり。

唯一あるコンビニまでも歩いて15分ぐらいかかるし、一番近いスーパーまでも車でないと行けない。

こんな不便な所なので、4年前に帰国した際は自分が日本で車を運転できないことをひどく後悔した。

車がないと自分で好きな時に買い物に行けないし、子供達を公園に連れて行くこともできない。

結局父に車で送ってもらうことが多かったのだけれど、父は公園に行ってもモールに行っても車の中で待っているタイプなので、待っている父に申し訳なくてすぐに用を済ませて出てきてしまうことが多く、少しも楽しめない感じだった。

なので今回の帰国では絶対に車の運転をしようと決めていた。

アメリカで国際免許証も取り、保険についてもしっかり調べた。

幸い父の加入している保険に少しお金を足せば私も加入させてもらえることになったので、その手続きをアメリカにいる間に済ませ、運転する準備を万端にした。

けれど実際日本に帰ってみると、妙にビビってしまった私は中々ハンドルを握ることができなかった。

だって最後に日本で運転したのは確か15年くらい前。

すっかり左ハンドル、右側通行に慣れてしまっていた私には、いきなり日本で運転する勇気がすぐに湧いてこなかった。

なのでしばらくは慣れるまでは父の横に乗って道を覚えるようにしていた。

そして一週間が過ぎた頃、「じゃあ、私がんばってスーパーまで行ってみるから」。

そう言って初めてスーパーまで一人で行ってみることにした。

他人の車を運転するのはそれだけで結構緊張するもの。

車体の幅の感覚を掴むのが特に大変。

しかもワイパーとウィンカーをすぐに間違えてしまい、道を曲がるたびに「ウィーン」とワイパーを作動させてしまった。

けれど無事にスーパーに着き、初めて一人で買い物をゆっくり楽しみ、また無事に家に帰り着いた。

それですっかり日本での運転に自信をつけた私は、雨の日に子供達を学校まで車で送って行ったり、学校帰りに公園に連れて行ったり、一人でスーパーに買い物に行ったりできるようになった。

子供達の学校が始まって二週間ぐらいは、先生から「これを用意してください」と言われるものが毎日あったので、父にお願いしなくても自分でささっと100円ショップにそれを買いにいけるのはとても便利だった。

そんなある日、いつものように子供達を学校に送って行った後、私は初めてちょっと離れたモールまで一人で運転していこうと思った。

その日は以前からずっとノッコに「お友達みたいに扉が開く筆箱が欲しい」と言われていた筆箱を、誕生日のプレゼントの一つとして買いに行こうと思っていたのだ。

そのモールまでは父の運転で何度か行ったことがあるので、なんとなく行き方は分かっていた。

迷ったらスマホのディレクションを頼りに行けばいいやと思っていた。

すると母がすごく分かりやすい裏道があるので、それを使って行けばいいと言い出した。

「地元の人しか知らないから絶対混んでないし、とにかく簡単だからそっちを使って行きなさい。」

そう言って母が描いてくれた地図を見ると、確かにずっと一本道で分かりやすい。

しかもそこはSUVやミニバンなどの大型の車は通行禁止の道で、ほとんど使う人がいないという。

「分かった。じゃあ、今回はこっちの道で行ってみるよ。」

そう言って、私は車に乗り込んだ。

実際その道は母が言うようにとても分かりやすかった。

ただ小型車専用の道なので、とにかく狭かった。

アメリカの道路はたいていとても広いので、その広さに慣れてしまった私にはその道の広さは一台がやっと通れる位のように感じた。

幸いその道を走っている間すれ違う車が一台もなかったので、ビクビク運転ながらも無事にモールに着くことができた。

そして比較的すぐにノッコと風太が欲しがっていた筆箱をみつけて買うことができた。

初めてモールへ一人で来れたことがうれしくて、私はしばらくウィンドーショッピングを楽しんだ。

そしてさてそろそろ帰ろうかなと思って外に出ると、意外にも雨が降っていた。

「なんだぁ、雨か」

上からポツポツと振り落ちる雨を手のひらに感じながら、私は訳もなくイヤーな不安に襲われたのだった。

つづく



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さわこ

Author:さわこ
在米のさわこです。売春、ドラッグ、破談などの障害を越えてようやく家へきたノッコと風太の養子縁組のお話を綴っていきます。

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