日本の小学校、初日

日本に着いてから一週間目の月曜日は、ノッコの登校日第一日目だった。

以前このブログで、ノッコを日本の小学校に通わせる際に一年生に入れた方がいいのか、二年生に入れた方がいいのかすごく悩んだことを書いた。

当時は知り合いのアドバイスを受けたり、ノッコの意向を聞いたり、自分なりに色々考え、最終的にはノッコを二年生に入れることに決めた。

日本語の読み書きが弱いノッコが2年生に入ったら授業にはついて行けないかもしれないけれど、彼女にとっては気の合う友達ができることの方がずっと大切だと思えたし、本来なら現地校の3年生になるノッコに1年生のお友達ではちょっと物足りないのではないかと思ったからだった。

そしてその旨、教頭先生には事前にリクエストを出しておいた。

ところが先週ノッコの小学校に挨拶に伺った際に校長先生から「ノッコちゃんは一年生のクラスに入ってもらおうと思っています。」と言われてしまった。

その理由は単に2年生の先生が新任の先生で、海外の子供を預かるのは少し負担が大きいからということだった。

逆に1年生の先生はベテラン先生なので、安心してノッコを預けられるとのことだった。

私はそれを聞いた時、正直心の中で「えーっ」と叫んでしまった。

だって今までずっと「日本の小学校で2年生に入るんだから」とノッコに葉っぱをかけてきたおかげで、夏休み前には一年生の漢字をほとんど覚えることができたのに、ここへ来てまた「あいうえお」に舞い戻るのはもったいないと思えたし、アメリカの日本語補習校で2年生に上がれたことをあんなに喜んでいたノッコが、また1年生に入れられると聞いたらきっとひどくがっかりすると思えたから。

でも無理して体験入学させてもらう身としては、そこまで強く主張することはやはりできず、仕方なしに「はい、分かりました。」と返事をした。

そして登校日第一日目。

この学校では、朝の登校の際に「登校班」で学校まで歩いて行くことが決まっていたので、ノッコも近所の登校班に入れてもらって学校まで歩くことになった。

けれど教頭先生の方から「登校班の班長の生徒の負担が大きくなるので、お母さんも毎日付き添ってあげてください。」と言われていたため、私も一緒に歩くことにした。

そして「一緒に行くー!」と聞かない風太も連れていくことになった。

三人で登校班の集合場所まで行ってみると、6年生の班長さんを始め5年生から2年生までの生徒が5人ぐらいすでに集まっていた。

「おはようございます。今日からよろしくお願いします。」

私は子供達とその親御さんたちに元気よく挨拶した。

「ほら、ノッコちゃん、おはようございます は?」

「オハヨウ ゴザイマス、、。」

下を向いたまま消え入るような細い声でノッコがそう言った。

それとは対象的に風太が、

「おはようございます!」と元気に挨拶した。

「アメリカから一時帰国しているノッコです。よろしくお願いいたします。」

そう言ってノッコを紹介すると、保護者(なぜかお父さんばかり)から「何年生ですか?」などの質問をいくつか受けて、短い自己紹介をしてから私たちは学校に向かって歩き出した。

私は登校中に近所の子に話しかけたりして、少しずつみんなと仲良しになっていこうと思っていたのだけれど、いざ歩き出してみてビックリ。

だってどの子も一言も無駄話をせず、まっすぐ一列に並んで黙々と歩いてるんだもの。

しかも「話しかけないで」オーラが身体中から漂っていて、私もノッコも風太も彼らに話しかけることはできなかった。

そのまま無言で畑道を通り大きな交差点に着くと、そこに教頭先生とボランティアの保護者の人たちが立っていて「おはようございまーす」と生徒たち一人一人に挨拶をしていた。

「ごくろうさまです。問題ありませんでしたか?」

教頭先生が私にそう聞いてくださったので、

「はい、大丈夫です。みんなちゃんと一列に並んですごいですねー。」

そんな短い会話をしてから、私たちの班も横断歩道を渡った。

そこには恐らく5−6組の登校班(30人ぐらいの学生)がいたけれど、誰も一言も口を聞かず、みんな黙って右手を高くあげて横断歩道を渡っていた。

その光景を見ながら私は、「これをアメリカ人が見たらビックリするだろうなぁ」と思っていた。

こっちの登校の様子と言ったら、固まっておしゃべりしながら歩いてる子たちはもちろん、ローラーブレードに乗ってる子、スクーターをこぎながら行く子など、各々自由に学校に向かっている。

これと言った規則もないし、別に注意する人もいない。

でもその日の登校班には1年生もたくさんいたのに、どの子もおしゃべりしたりふざけたりせず、きちんと列について歩いていた。

この年齢の子供なんてふざけて歩いて当然だと思っていた私には、しゃべらず黙々と歩く子供達のその光景は「まるで自衛隊か」と思えるほどちょっと異様にさえ思えた。

(小さな子供でもここまで訓練させることができるんだなー)と感心する一方、子供の本来の気質をかなり押し殺している規則のような気もした。

お友達とおしゃべりしながら学校へ行くのって、すごく楽しいのに。

そう思ったりしたけれど、実際日本の道路はすごく狭いわりに車の量が多い。

そんな道を子供達が2−3人で広がって歩いてたりしたら、やっぱりすごく危ないと思う。

だから「生徒の安全」を一番に考えている学校側としても、ここまで徹底しないといけないんだろうなぁとも理解できた。

日本の子供達が規則正しいのは、こういった環境によるものが大きいのだと改めて思ったりした。

その日は家を出てから学校に着くまで、ノッコと登校班のお友達は一言も口を聞くことはなかった。

ノッコたちとだけでなく、登校班の生徒同士でも一言も話さなかった。

それは正門をくぐって自由になってからも同じだった。

(友達じゃない子とは、あまりしゃべらないのかもな、、。)

私はそんな風に思ったりした。

そしてそれから1ヶ月の間、毎日一緒に登校したその生徒たちは結局一度もノッコと風太に直接話しかけることはなかった。

だからノッコも風太も彼らの名前すら知らないままだった。

一緒に登校しているうちに近所の子とお友達になって、放課後にお互いの家に行き来するようになるのかな、なんて思っていた私にはちょっと意外な展開だった。





登校班 - 1
横断歩道で誰よりも張り切って右手をあげていた風太がかわいかった。


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分かるっ!

ノッコちゃんとどこか似ている息子を持つ2児の母です。いつも投稿を楽しみにしています。
ふーたくんの手をあげる姿、可愛いですね✨

私自身、アメリカに住んだことはないのですが、中学生の時にオランダに住んだことがあり、また自分のもともとの性格から、日本の習性にいまだに慣れない感覚を持つことがあります。
今回の投稿を見て、深く共感できました。

個性を出すと陰口を言われる、目立たないようにしないと…自己表現よりも、まわりに合わせることを求める人もいます。
そんな息苦しさを抱えながら、個性をコントロールしながら、日本に合わせてきた感覚があります。ママ友のお付き合いの中でもしかり。
民族意識の高い!?国なのかもしれません。

もしかしたら、ノッコちゃん、一種のカルチャーショックを受けたかもしれないけれど、改めて、外からアメリカを見てみる、という意味では、いい経験になったと思います。

いい出会いもあったら、きいな✨と思いながら、次の投稿も楽しみにしています。

子育ての面でも、共感できるところが多く、気付かせていただいたり、共感したりしています。

遠く日本から、さわ子さんの子育てを応援していますよ✨楽しみましょう✨

一言も喋らずに学校に行くなんて逆にすごいなと思ってしまいました!笑
わたしの通ってた小学校では(って言っても8年くらい前ですけど)、そもそも集団で通うって言う制度はなくて、友達(たまに1人)と通ってました。なので、必然的に行きも帰りも喋りまくってました(笑)
ちゃんと広めの歩道とかもあって、一列で行かないといけないっていう感じでもなかったですしね。
まぁ確かに、一列になると、喋りにくいし口数が減るのかもしれませんし、学年が違うと余計に、会話が減るのかな?と思いました。。。
それともメンバーが偶然、シャイだったのかも??

しかしそれでも、わたしの通ってた小学校とは違って逆に驚きでした(*_*)

Re: No title

鍵コメさん、

またまたコメントをありがとうございます。

そうなんですか? 給食の時間さえもあまりしゃべらないケースがあるんですね。
ノッコたちと一緒に登校してた子供達はもともと大人しい感じの子供達だったので、きっと性格のせいもあるのでしょうが、それでもノッコたちに一言も話しかけなかったのはちょっとビックリしました。と言っても、ノッコたちもあまり話しかけなかったので、お互い様なんでしょうが。でもどの子もすごく礼儀が正しかったのには感心しました。

写真、癒されると言っていただいてうれしいです。

またこれからもよろしくお願いします。


Re: 分かるっ!


茜さん、

コメントありがとうございました。
そしてお返事が遅くなってしまってすみません。

私は記事を書くとき割と簡単に「日本では」とか「アメリカでは」とか言ってしまいますが、日本にももちろんさまざまな人がいて当然ですよね。私自身はこの登校班のあり方にすごく驚いてしまったのですが、同じようにこういう習性をちょっと窮屈に感じてしまう人もいるんですね。
でもどの親も、子供が交通事故にあうよりはちょっと窮屈なやり方を良しとするのではないかなとも思いますが。
日本の習性は、どうしても環境によるものが多いのだろうなと今回改めて思ったりしました。
ドイツもきっとアメリカよりのびのびしているような気がします。

茜さんの言うように、ノッコも風太も上手に言葉に表せなくても、漠然とした「文化の違い」は感じ取ったようです。
でもおかげさまで、学校ではお友達もちゃんと作っていたので楽しかったようです。

これからもできるだけ頻繁に記事を更新できるようにがんばりますので、よろしくお願いいたします。

Re: タイトルなし


Masa さん、

コメントありがとうございます。
お返事遅れてすみません!

そうそう、私も自分が小学校の頃は、こんなにしっかり一列に並んで登校しなかったような記憶があるんです。
近所の子ともお友達だったので、少なくとも二人では並んで話していたような、、、。

やはり日本国内でも、色々なんでしょうね。
一概に「日本では」と言ってしまってすみません。

確かにノッコの登校班のメンバーはみんなすごく大人しい子ばかりで、しかも近所なのに全然仲良しじゃなかったみたいです。
そして学校の近くの道がとても狭くて交通量が多かったので、この「一列でおしゃべりしない」というのは、かなり徹底して教えていたようですね。(この学校は全校生徒の帰りの会があって、そこで何度も説明されてました)

私の小学校への道はもう少し広かったので、そんなに厳しくなかったのかもしれません。

まあどちらにしても、この登校班は私にとってもノッコにとっても一種のカルチャーショックでした。
Masaさんにとってもショックだったのであれば、地域性のものなのでしょうね。

この他にも色々と面白い発見があったので、折々綴っていきたいと思います。

よろしくお願いいたします。
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さわこ

Author:さわこ
在米のさわこです。売春、ドラッグ、破談などの障害を越えてようやく家へきたノッコと風太の養子縁組のお話を綴っていきます。

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