ハネムーン時期が終わったあとは、、


日本に着いてから5日目。

父は相変わらず子供達にとてもやさしかったけれど、母と子供達のハネムーン時期は終わってしまったようで、最初の頃は手放しに「かわいくて仕方がない」と言っていた母が、だんだん「うるさい」とか「落ち着きがない」などの批判的な言葉を口にすることが多くなってきた。

まあそうなるだろうなと思っていたので、それは想定内だったのだけれど。

その週の土曜日は子供達の学校用品をモールに買いに行き、その帰りに近くの公園に両親と子供達と五人で行ってみた。

その公園はあまり大きくない割に色々な運動遊具があってノッコも風太も大喜びだった。

特に二人は小さなジップラインがすごく気に入って、おじいちゃんに押してもらいながら何度も何度もガラガラガラとロープで降りてきた。

最初は他に子供が誰もいなかったのでノッコと風太の貸切状態だったけれど、20分もすると幼稚園児が10人ぐらいドワーッとやってきた。

みんなジップラインでは遊ぼうとせず、お母さん達と他の遊具で遊んでいた。

でもしばらくすると、一人の男の子が興味深そうに風太達の方に近づいてきた。

ジップラインがやりたいのかなと思ったノッコは、その子に向かって「やる?」という風にロープを差し出した。

けれどその子はビックリしたような顔をして、さささっと逃げて行ってしまった。

なのでまたしばらくノッコと風太はジップラインで遊んでいた。

でももしかしたら他にもジップラインをしたいと思っている子がいるかもしれないと思ったので、私はそばの遊具で遊んでいる子供達に、

「あれやりたい?」と聞いて回ってみた。

でもみんな「ううん」と首を振るだけで、誰もやりたいとは言わなかった。

なので私もそのままノッコ達にジップラインをやらせていた。

けれどしばらくして母が、「ノッコちゃん、風太くん、他の子もこれやりたいだろうから、違う遊具で遊びなさい。」と声をかけた。

するとノッコは、

「でも誰もジップラインのところに並んでないよ。他のもので遊んでるよ。」と言った。

「ノッコちゃん達がずっと使ってるから遠慮して来ないだけなのよ。ノッコちゃん達が使うのやめたら、他の子もきっと使い始めるから。」

そう言った。

自分たちのやりたいことはガンガン主張してしまうノッコ達には、(自分の遊びたい遊具があるのに遠慮して使わない)というコンセプトがあまり理解できないようだったけれど、それでも二人は渋々ジップラインから離れた。

そしてしばらくの間他の遊具で遊んでいたけれど、やはりジップラインをやろうとする子は誰もいなかった。

「ママ〜、やっぱり誰もジップラインやってないよー。ノッコ達やっていい?」と目ざとくノッコが訊いてきた。

私も(ジップラインはちょっと危ないから、小さい子はあまりやりたがらないのかも)と思ったので、「いいよー。」と言おうとした。

けれどその前に母が

「ダメよ。ノッコちゃん達はずっとあの遊具を独り占めしてたんだから。あとは他の子達のために空けておいてあげなさい。」と言った。

「でも誰も使ってないよ!」

ノッコが抗議した。

「そのうち他の子が使うわよ。ノッコちゃん達が使ってると他の子が遠慮して使えないのよ。」

そんな母の言葉に全く納得できない様子のノッコ。

「なんで誰も使ってないジップラインを使っちゃいけないの? ねえ、ママ?」

私に懇願するようにそう聞いてきた。

私も誰も使ってないんだからノッコ達が使ってもいいんじゃないかと思ったので、

「いいよ。じゃあ、あと5分だけね。そしたら帰るからね。いい?」

そう言った。

「イエーイ! 風太行こう!」

そう言って二人はまたジップラインの方に走って行った。

けれどそんな二人を見て母はちょっと不服そうな顔をしていた。

そして公園から帰って子供達が家でテレビを見ていると、近所の人が畑で採れた野菜を持ってきてくれた。

そしてノッコと風太にも小さなお菓子をくれた。

しばらくその人と世間話をしていた母が、「今日ね、〇〇公園に子供達と行ったんだけど、あれは結構いい公園ね。」と話し出した。

「そうなの? 私は行った事がないからわからないけど。」

「でもね、この子達ったら一つの遊具をずっと独り占めしっぱなしで、全然他の子に譲ろうとしないのよ。あれじゃ他のお母さん達に迷惑だったわね。あんなに占領しっぱなしじゃ。」

「あら、そうだったの。」

ここで私がちょっと口をはさんだ。

「えっ、お母さん。ノッコはちゃんと “やる?” って他の子に訊いてたよ。でも誰もやらないようだったからずっと遊んでたんじゃん。」

「他の子がみんなやりたそうにしてたのに、二人がひっきりなしにロープで降りてくるから遠慮してたんじゃないの。」

「やりたいなら列に並ぶとか、“やりたい”ってちゃんと言えばいいのに。幼稚園児が遠慮するとかよく分からないよ。」

「日本の子供は謙虚なのよ。自分がやりたくても他の子のためにじっと我慢できるのよ。」

これは完全にノッコ達への嫌味だった。

「分かったよ。じゃあ、次から気をつけるように言っておくから。」

母の言う事にあまり納得はしていなかったけれど、お客さんの手前その時はとりあえずそう言っておいた。

この日を境に、周りの目を気にしてばかりいる母の、子供達に対する小言が少しずつ増えていった。






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Re: No title


鍵コメさん、

コメントありがとうございます!
更新が遅れ気味なこのブログを参考にしてくださってありがとうございます。

同じアメリカで養子縁組を希望していらっしゃるということで、もうそれだけで鍵コメさんとお友達のような気がします。
養子縁組のプロセスの中でも本当に色々なことがありましたが、今の子育ての大変さに比べるとなんでもなかった事のような気がします。家族となるための挑戦は縁組が正式に成立した時に終わるのではなく、それを機に始まるのだとつくづく思います。

最近はもっぱら子育ての話ばかりで直接養子に関する記事はあまり書いていませんが、それでも時々参考にしていただけたらと思います。

そして鍵コメさんの縁組の成功を心からお祈りしています。


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Re: No title

鍵コメさん、

またまたコメントありがとうございます。
このブログ実は全然整理されてなくて、古い記事を読み返すのはすごく大変なんですよね。
それなのに過去の記事に遡って読んでくださったり、たくさん共感してくださったりしてすごくうれしいです。

そんな鍵コメさんの言葉に励まされて久しぶりに記事を書くことができました。
縁組は焦らず、少しずつ進めていく方がいいと思います。
例えずっと先になってしまっても必ず縁はあると思うので、がんばってくださいね。

これからもよろしくお願いいたします。
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さわこ

Author:さわこ
在米のさわこです。売春、ドラッグ、破談などの障害を越えてようやく家へきたノッコと風太の養子縁組のお話を綴っていきます。

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