FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ノッコの小学校への挨拶

これは昨日の記事の続きです。


風太の幼稚園初日だった金曜日は、ノッコの小学校挨拶にも行くことになっていた。

なので午後は風太を両親にみてもらい、私とノッコは3時ごろノッコの小学校へ向かった。

以前も書いたように、風太の幼稚園とノッコの小学校は同じ建物内にあるので、その日私がその建物に行くのはそれが3回目だった。

校庭に面している職員室のドアをノックすると、一人の先生が「玄関から入って廊下側のドアからお入り下さい。」と言った。

職員室内にいた先生達は皆、その日私たちが挨拶にくることを知っていたようで、みんなが一人ずつ私たちに頭を下げてくれた。

言われた通り正面玄関から学校に入ると、校長先生と教頭先生がわざわざ出迎えに出てきてくれた。

そこで靴を脱いだノッコは、驚いたことにそこで靴をきちんと揃えてから出されたスリッパに履き替えた。

そんなこと今まで一度もしたことなかったのに。

その朝私が「日本ではこうするんだよ」と言って見せたのを覚えていたらしい。

それを見た校長先生と教頭先生は、えらく感心して「あらー、えらいのねー。」と言ってノッコを褒めた。

そのまま校長室兼応接室に通され、私たちは話を始めた。

まだ30代かと思われる教頭先生はとてもパキパキとした女性で、ノッコの体験入学のためのガイドラインを作ってくださっていた。

それに沿って学校生活がどんなものか、これから何を揃えなきゃいけないかなどの話を伺っている間、ノッコは自分で持ってきた自由帳に色鉛筆で大人しく絵を描いていた。

時々教頭先生が、

「何を描いてるの?」

などと訊いてくると、ノッコは「わかんない」と恥ずかしそうに答えていた。

そこまでは全てが順調に進んでいるように見えた。

ところが思ったより先生の話が長くなってくると、絵を描くことに飽きたノッコは「お腹がすいた」とぐずり始めた。

来る前におやつは済ませてきたので、学校に何も食べ物を持って来なかった私は、

「家に帰ってから何か食べさせてあげるから、今はちょっと我慢しててね。」

とノッコをなだめた。

けれど眠気とつまらなさのせいか、ノッコは更に落ち着きがなくなってきた。

「もうすぐ終わるからちょっと待っててねー。」

ノッコのイライラを察したのか、教頭先生もそう言ってノッコに気を使ってくださった。

それなのにノッコは、しばらくするとソファーに仰け反るようにだらしなく座り、そのかっこうで両足をバタバタと開いたり閉じたりし始めた。

その度にスカートの中の下着が丸見えになるので、男性である校長先生は目のやり場に困っているようだった。

「ノッコちゃん、ちゃんと行儀よくしてて。そんな座り方恥ずかしいよ。」

私がそう言うと、

「お腹すいたー!」とノッコは大きな声を出した。

「ノッコちゃん! いい加減にしなさい。5歳児じゃないんだから。」

「いいですよ、お母さん。ノッコちゃんもまだ時差ぼけがあって疲れているんでしょうから、説明はこれくらいにして、じゃあ、校内を少しご案内しましょうか。」

教頭先生が気を使ってそう言って下さった。

するとノッコは、

「えーっ、やだー。見たくない」と英語で言った。

英語がわかる教頭先生はノッコが何を言ったのか理解したようで、

「でもノッコちゃん、これから自分がどんな教室で勉強するのか見てみたくない?」と誘うように聞いた。

先生にそう言われてちょっと楽しみになったのか、ノッコは機嫌を直して私たちに付いてきた。

けれど校内のどこを見てもノッコは遠慮なく「トイレが臭い」とか「建物が古い」とか文句ばかりを言っていた。

私は心の中で(先生が英語の分からない人ならよかったのに、、)と思ってしまった。

この小学校は生徒の数が少ないので一学年にクラスが一つしかなく、しかも各教室と廊下の間に壁のないオープンな造りの校舎だった。

なので学年に関係なく生徒達がみんな仲良しで、教頭先生にも気軽に話かけてきた。

そんな和気あいあいの様子を見て私は、(ああ、この小学校にしてよかったなぁ)と思ったりした。

そんなことを考えながらふと周りを見ると、知らぬ目に二十人近くの生徒が自分たちの周りに集まっていることに気がついた。

「先生、この子がアメリカから来た子?」

「わー、本当に髪の毛が茶色いんだ」

「何年生に入るの?」

「背が大きいー」

「ハロー」

私たちの周りを囲んだ子供達は口々にそんなことを言ってきた。

いきなり大勢の生徒に囲まれたノッコはとても驚いてしまい、あまりに恥ずかしかったのか咄嗟に私の後ろに隠れてしまった。

そしてどんなに私が、

「ほら、ノッコちゃんもみんなに“こんにちは”って言わないと」

そう促しても、一向に私の後ろから出てこようとしなかった。

そして積極的な6年生ぐらいの女の子が、

「私この子とお話ししたいー!」と言うと、ノッコは私の後ろからすばやく移動して、今度はロッカーの後ろに隠れてしまった。そしてどんなに呼んでもそこから出てこようとはしなかった。

「ほらほら、みんな、ノッコちゃんは今日挨拶に来ただけなの。急にそんなに大勢のお友達に囲まれたら恥ずかしくなっちゃうよ。来週から授業に出るから、そしたら仲良くしてあげてね。今日はもうみんな帰った、帰った。」

そう言って生徒達を追い払うように手を振った。

生徒達が渋々帰っていくと、ノッコはようやくロッカーの後ろから出てきて、「ノッコもう帰りたい!」と言った。

けれど教頭先生は、

「最後にちょっとだけ担任の先生をご紹介したいので、申し訳ありませんがもう一度応接室にいらしていただけますか?」と言った。

「はい。」

先生に言われた通り私たちが応接室に戻ると、担任の岡本先生が待っていて下さった。

「来週からお世話になります、ノッコです。よろしくお願いいたします。」

そう言ってノッコにも挨拶させようとしたけれど、ノッコは蚊の泣くような声で「こんにちは」と言っただけだった。

その後授業について岡本先生の方から少し説明があった。

私が先生と話していると、それに飽きたノッコはこともあろうかソファにゴロンと横になって「疲れたー」と足をバタバタさせ始めた。

「ノッコちゃん!」

私が嗜めるとノッコはふてくされたまま起き上がり、ソファの上でピョンピョンお尻を浮かせてジャンプし始めた。

ノッコの落ち着きのなさに痺れを切らした教頭先生が、

「こらノッコちゃん、少し落ち着いて!」とノッコを叱った。

それを聞いた私はもう穴があったら入りたいくらい恥ずかしい気持ちで、岡本先生の話もろくに耳に入らない状態だった。

その時の私は、(もうこれ以上ノッコが失態を晒す前にとにかく家に帰りたい)と、それだけを思っていた。

ようやく先生のお話が終わり、校長先生や教頭先生に「では、よろしくお願いいたします」と挨拶してから、私はノッコを連れて逃げるように学校を去った。

帰りの道でもノッコはずっとグズっていたけれど、私はあまりに頭に血が上りすぎてそんなノッコをなだめる気には全然なれなかった。

(最初の印象が決まる挨拶の日にどうして、、、)

(今頃先生達はノッコを受け入れたことを後悔しているかもしれない、、)

怒りと不安で頭がくらくらして、思わずその場で倒れそうだった。

今振り返ると、3時はノッコも時差ぼけで一番キツい時間だったのだろうと思う。

それにアメリカの日本語補習校に初めて面接に行った時も、ノッコは今回と全く同じ行動をしたので、きっと彼女は「面接」というものが極端に苦手なんだと思う。

「新しい学校」「日本語でしゃべらなきゃいけない」「知らない先生たち」

そんなものを目の前にして、自分の中の不安をどう処理したらいいのか分からず今回のような行動に出てしまうのだろうと思った。

けれどあの時の私には、そんな風にノッコに寄り添ってあげられる余裕など少しもなかった。

ただ、(どうしてノッコはいつもこうなんだろう、、)という失望感で胸が一杯だった。

どうしていつも “ここぞ” というところで最悪の行動を取るんだろう。

ノッコはいつになったら成長してくれるんだろう。

こんな調子で彼女はこれから1ヶ月本当に大丈夫なのだろうか、、。

そんな不安が私の心の中で渦巻いていた。

そんな私の気も知らないで、少し機嫌がよくなったノッコは、

「お家に帰ったらUNOやっていい?」

と、うれしそうに訊いてきた。



にほんブログ村 家族ブログ 養子縁組へ
にほんブログ村

コメントの投稿

非公開コメント

sidetitleプロフィールsidetitle

さわこ

Author:さわこ
在米のさわこです。売春、ドラッグ、破談などの障害を越えてようやく家へきたノッコと風太の養子縁組のお話を綴っていきます。

sidetitle最新記事sidetitle
sidetitle最新コメントsidetitle
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitleRSSリンクの表示sidetitle
sidetitle管理者ページsidetitle
sidetitle広告sidetitle
sidetitleメールフォームsidetitle

名前:
メール:
件名:
本文:

sidetitle検索フォームsidetitle
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。