空港でのハプニング4

* これは昨日の記事の続きです。

セキュリティーチェックの場所に行くと、朝早いのに思っていたより列が長く、多くの人が自分達の順番を待っていた。

(ああ、ダメかも、、)

その列の長さを見て、一瞬そんな思いが頭をよぎった。

その時、横で一緒に走ってくれていた補習校のお父さんが、

「こういう時は、通常の列に並ばないであの警備員たちがいる特別口から入った方がいいですよ。」

そう教えてくれた。

「えっ、そうなんですか?」

「そう、そう、ほら、あそこでおしゃべりしている警備員たちがいますよね。あそこで訳を説明して入らせてもらうんですよ。」

「わかりました。」

そう言って子供達の手をひっぱり、その警備員のところへ行くと、

「ああ、国際便への乗り継ぎだね。いいよ、ここから入りな。」

そう言って私たちをすんなり通してくれた。

そのままベルトにバッグや靴を乗せて、セキュリティーを通した。

ゲートをくぐった反対側で自分たちのバッグのチェックが終わるのを待っている時、ふと自分と子供達のバックパックにお水が入っていたことを思い出した!

(それに風太の液体の薬もひっかかるかもしれない、、、。)

「ちょっとカバンを開けます。」

なんて言われて中身をチェックされたりしたら、時間をロスして搭乗に間に合わないかもしれない。

そんな私の心配をよそに、私たちのバックパックは問題なくセキュリティーチェックを通過してしまった!

ボトルのお水は三本とも、バックパックの横のポッケに入っていたというのに!

アメリカの空港のその適当さに、その時ほど感謝したことはなかった。

そのバッグ達をひったくるようにして肩に抱え、私たちはまたゲートに向かって走り出した。

けれどその前に一度振り返り、セキュリティーの入り口のところで心配そうに立っている例のお父さんに深々とお例のお辞儀をした。

そのお父さんは、ニコニコして私たちに手を振ってくれた。

その空港は割と大きい空港だったし、そのゲートはちょっと遠くにあったので、たいていの人はそこまで空港内のシャトルを利用する。

でもあんまり急いでいた私は、そんな電車が来るのを待つ時間さえも惜しいような気がして、とりあえずオートウォークを使ってゲートまで走り続けることにした。

「まだもうちょっと走るけど、二人とも大丈夫?」

「うん。」

ノッコがそう返事した。

風太はさすがに疲れた様子で、返事をしなかった。

今振り返ってもあの時の二人は、本当にすばらしかったと思う。

喉が渇いても、足が痛くても、荷物が重くても、何一つ文句を言わず、ただだまって私と走り続けた。

しかも幸いだったのは、二人とも足がとても速かったこと。

7歳のノッコは私と同じくらいのペースで走れたし、あんなに小さい風太もそんなに遅れずに付いてこれた。(ちなみに二人とも数週間前の運動会ではダントツの一位でした!)

そうやって一生懸命走って、あと三つ四つ先にゲートがあるというところまで来た時、何かにつまづいたのか風太が転んだ。

「ママ〜! 起きれないー!」

転んだ姿勢のまま風太がそう叫んだ。

一瞬風太のところまで戻って風太を抱えて走ろうかと考えたけれど、それより私だけでもゲートに辿り着いて、まだ飛行機のドアを閉めないようにお願いした方が得策だと思い直した。

「風太、ママすぐに戻ってくるから、そこにいて! ドアを閉めないでってお願いしたら戻ってくるから。」

そう言って走り出した私の後ろから、

「Mama!!!!! Don't leave me!!!! (ママ〜!ボクを置いていかないでー) と泣き叫ぶ風太の声が聞こえた。

この状況で置き去りにされることの不安がどんなものか、その時の風太の気持ちがとてもよく分かったので、「ノッコちゃん、ママ先に行ってゲートの人に飛行機のドアを閉めないでってお願いしてから絶対に戻ってくるから、だから風太と一緒にいてあげて。」

そうノッコに言い残して、全力で走り始めた。

すると驚いたことに風太はその後すっくと立ち上がって、ノッコと一緒に私に追いつこうと走り始めた。

ようやくゲートに着くと、カナダ航空の人たちは私たちを待っていたようで、「速く! 速く!」と私をうながした。

「今、、ハアハア、娘と、、息子が、、来るので、、どうか、、ドアを ハアハア、閉めないで、、。」

それだけ言うと、私はまた元来た道を戻ろうとした。

けれどノッコと風太はすでに10メートル先のところまで追いついていた。

本当にこの二人はすばらしい!

私は風太を抱きかかえ、もう走れないノッコの手を引きながらゲートまで歩いた。

そしてチケットを渡してから、雪崩れ込むようにして飛行機に乗った。

自分たちのシートを探して席に着いた時、あまりの安堵感にしばらく動けないほどだった。

まだしばらくは夢を見ているような気分だった。

でもだんだんと「自分たちは飛行機に乗れたんだ」という実感が湧いてくると、私は思わずギューっとノッコと風太を抱きしめた。

「本当に偉かったぞ、二人。本当に偉かった。二人が一生懸命走ってくれたお陰で飛行機に乗れたよ。本当にありがとう。ママこんなにうれしかったの、生まれて初めてだよ。」

そう言ってもう一度二人をハグした。



私たちが乗ってから数分して飛行機のドアが閉められた。

けれどドアが閉まる前に、例の中国人家族が乗って来ることはなかった。

(彼らのeTAは間に合わなかったんだ、、、。)

そう思うとあの状況で私たちがこうして飛行機に乗れたことは、ほとんど奇跡に近かったんだと改めて思えた。

そしてこの奇跡を可能にしてくれたのは、他でもないあの補習校で一緒のお父さんだった。

彼の手助けなしには、私たちの搭乗は絶対にあり得なかった。

あのお父さんにはどんなに感謝しても、とても感謝しきれない。

彼の奥さんとトロント空港で仲良しになり(ちなみに奥さんも、とーっても素敵な人だった!)、少し雑談をした時 彼が小児科のお医者さんだということが分かった。

(どうりであんなに落ち着いていられたんだ、、)

私は心の中でそう思った。

彼は仕事柄、子供が病気でパニクっているお母さんの対応をすることが多いのだろう。

だから彼の「大丈夫、落ち着いて。」という言葉には、やけに説得力があったんだ。

あのチェックインカウンターで偶然あのお父さんと一緒になったことは、私たちにとって本当にラッキーだったと思う。

(ちなみにこの奥さんが、事前にeTAを取得しておいたのは、彼女の友人が私と全く同じ経験をして乗り継ぎに失敗したからだそうです。)

これからカナダに旅行予定の方、もしくはカナダ経由でどこかに行かれる方、eTAの取得をどうかお忘れなく!

今回の私のような経験を、他の誰にもして欲しくないと願ってやまないさわこでした。


つづく




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No title

あぁ、良かった~
ハラハラしながら読んでいました。

日本語学校のお父さん、本当に良い人ですね。読みながら、彼が大好きになってしまいました(笑)
アメリカへ戻られる時には、彼へのお土産を買わなきゃね。

東京のお土産なら、「メープルマニア」と、「シュガーバターサンドの木」
この二つのお菓子が大好物で、私は関西在住ですが、夫が仕事で東京に出張する時には、どちらかを必ずリクエストします。

でも、どうせなら洋菓子ではなく、もっと日本らしいものが良いですよね~

さわこさん、まだスマホを持って日が浅いのですね。
でも私なんて、スマホどころかガラケーさえ持ったことがないんですよ。ビックリでしょ?
みんなから呆れられていますが、機械音痴なので、新しく操作を覚えなきゃならないと思うと億劫で…。

でも、離れて暮らす実家の親が今年、70歳を超えました。会うのは年に1~2回ほどで、時々パソコンのメールか固定電話で連絡を取り合っていますが、元気でいてくれるうちに、もっとコミュニケーションしたい…その為には、やはりスマホを持って、親と LINE や テレビ電話が出来ればいいな、とか思ってます。
(実家の親はガラケーですが、スマホへの買い替えを考えているようなので。)

さわこさんが、あの状況で何とかeTAを取得できたのも、スマホがあったからですよね。ほんと、便利なものですね・・・やはり私も思い切って、スマホを持つべきなんだろうな~

では、いつか機会があったら、関西にも来て下さいね☆

Re: No title


卯月さん、

コメントありがとうございます!
そして今回もお返事が遅くなってしまってすみません。
こんな思いをしてようやく日本に着いたというのに、ここのところハプニング続きでもうヘトヘトです。

ところで卯月さん、すばらしい勘ですね。
実は卯月さんからコメントをいただいた日に、例の補習校のお父さんにおみやげを買ったんです。
しかもそれは「シュガーバターサンドの木」でした!

たまたま池袋に行く用があって、西武の食料館を覗いていたらおいしいと聞いていたシュガーバターがあったので買ったんです。
いやー、あまりのタイミングでびっくりしました!

スマホは本当に便利ですよー。
卯月さんの言うように、あの状況でスマホを持っていない人は完全にアウトなワケなので、やはり持っていてよかったと思います。
今時ガラケーさえも持ったことがないなんて貴重な存在ですよね。

でも両親と連絡をとるためにスマホを買いたくなる気持ちわかります。
私は逆に両親にコンピューターを習って欲しいです。

卯月さんのいる関西に私も行きたい!
でもやっぱり今回は無理かなぁ。

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さわこ

Author:さわこ
在米のさわこです。売春、ドラッグ、破談などの障害を越えてようやく家へきたノッコと風太の養子縁組のお話を綴っていきます。

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