ジョンの欠点

* これは去年の夏頃のお話です。


このブログの中で、私は自分の夫であるジョンのいいところをたくさん書いてきた。

だからずっと読んでくださっている方の中には、ジョンがまるでとてもできた旦那さんのように感じている人がいるかもしれない。

確かにジョンは穏やかでやさしく、どんな時でも冷静な判断ができる人だと思う。

けれどそんなジョンにもやはり欠点はある。

たくさんある。

どれもこれも小さいことだけれど、、。

例えば、ジョンは大抵のことには無頓着である。

この「無頓着」という言葉の中には、「不潔」とか「気が利かない」とか「忘れっぽい」とかのさまざまな要素が含まれている。

例えば「不潔」。

ジョンはさすがに社会人なので、毎日一応シャワーを浴びたり、歯磨きをしたりはする。

けれどそれ以外のことは、本当にどんな状態でも気にならないらしい。

ジムに行って汗ビッチョリかいたTシャツを、そのまま椅子にひっかけて乾かし、それをまた着てジムに行くこともある。

私が「洗濯するからちゃんと出して!」と注意すると、

「あれはcool offしたから大丈夫」と訳わからないことを言う。

どうやら汗をかいて熱くなったTシャツを、乾かすことで冷やすという意味があるらしい。

そういえばお互い大学生だったころ、ジョンのアバートには「cool off area」と呼ばれるスペースがあって、汚れた服が山積みになっていた。

白いシャワーカーテンもピンクのカビでいっぱいだったため、メルヘンちっくなものになっていたし。

だから私は、子供達をジョンに預けて何日も家をあけることなんて怖くて未だにできないでいる。

「気が利かない」も「忘れっぽい」も例がたくさんありすぎて書ききれないくらいだけれど、最近手を焼いているのは「クリネックス入りシャツ」だ。

ご存知の方も多いかもしれないけれど、アメリカ人はたいてい鼻をかんだテッシュをそのまま捨てずに、またシャツやパンツのポケットに入れてしまう。

ジョンももちろん例外ではなく、使ったティシュをいつもポケットに入れっぱなしにする。

パンツの場合は、洗濯する前にいつもポケットをチェックするのだが、時々シャツの小さなポケットにテッシュが入っていることに気がつかないことがある。

ティシュが洗濯機の中で散乱し、もちろん他の洋服にもついてしまう。

そういう時に限って、黒いシャツが多かったりして。

「お願いだからシャツのポッケにテッシュを入れるのやめて」と何度も頼んでいるのに、自分が洗濯するわけじゃない彼にとってはたいした問題ではないらしく、いくら言っても気をつけてくれない。

ある日、またチェックしそこねたシャツのポッケからティシュが溢れ出したので、ティシュの破片でいっぱいになった黒いTシャツをジョンに突き出し、

「もう自分でこのテッシュ一つ一つとってよね!私はやりませんから。」と言った。

すると次の日、ジョンはそのティシュだらけのTシャツをそのまま仕事に着て行ってしまった。

「歩いてれば自然に落ちるから大丈夫」と言いながら、、。

もうダメだと思った。

あんな真っ白なものがたくさん付いたTシャツを平気で着ていくジョンの神経。

彼とは絶対に同じ感覚を持って生活することはできないと思い、今は彼の影響が子供達に及ばないことだけを祈って毎日を過ごしている。

けれど「不潔」「気が利かない」「忘れっぽい」などによる被害は、まだ許される範囲のものだった。

彼の無頓着さで一番困るのはやはりお金の問題だった。

他の多くのアメリカ人がそうであったように、ジョンも大学の学費の一部をStudent loanでまかなっていた。

それは卒業して仕事に就いたら少しずつ返していかなければいけないものだったのに、ジョンはお母さんに言われるまでそのローンのことをすっかり忘れていた。

そのおかげで借りた金額にしっかり利子が上乗せされていた。

どうしたら自分がどれくらい借金をしているかを把握しないでいられるんだろう?

お金のことにはきちんとしたい私には信じられないことだった。

結局金額自体はそんなに大きくなかったのと、それ以上利子が膨らむのは嫌だったので私の貯金から一括で払った。

それからジョンは私のことを「sugar mama」と呼ぶようになった。

ジョンはけして浪費家ではないけれど、もともと使おうと思った時にはドーンと使いたいタイプだった。

だから金欠状態でバケーションに行った時も、一番安いサラダばかりを食べている私の横で80ドルもする刺身の盛り合わせを頼もうとした時は、本当にジョンの金銭感覚を疑ったりした。

                            ◇

楽しかった姉家族の訪問が終わり、寂しいのと気が抜けたのとで毎日ポケーッとしている私に、ある日ジョンが

「ねえさわこ、来年日本に行こう!」と突然言い出した。

「えっ? 日本?」

「うん、ノッコも風太もアミやカイとまた会いたいだろうし、もう3年も帰ってないんだから、さわこの両親も子供達に会いたいんじゃない?」

「そりゃそうだけど、、。」

「僕はまた海外出張があるから、その仕事が終わったら日本で合流するよ。」

「待ってジョン。私だって行きたいのは山々だけど、金銭的に絶対無理だよ。」

「それがね。」

そういってジョンはニコニコしながら、秋からの昇進の話をしてくれた。

ジョンのポジションが今の肩書きより一つ上になるので、その分お給料が上がるらしい。

それはとってもいいニュースで私もうれしかったけれど、昇給はそんなに大したものではなく、それで家族4人の日本行きはとても無理そうな気がした。

「それに来年には屋根の張替えもしないといけないし、窓の修理もしなきゃいけないし。気持ちはうれしいけど、やっぱり無理だよ。」

私がそういうと、ジョンはいつものように

「大丈夫だよ。お金はなんとかなるから。」と言った。

この「お金はなんとかなるから」という言葉、彼と知り合ってから何度聞いたことか。

実際彼の言う通りいつもお金はなんとかなっている訳だけれど、それはこの堅実なさわこが懸命にやりくりしているからなのに。

「なんとかなるってどうするの?」

「いいよ、もしも足りなかったら銀行から借りれば。」

「えっ? 銀行から借りるの?」

「うん。」

それからジョンは、自分なりに調べたことをベースにどうして来年日本に行った方がいいのかを理論立ててトクトクと私に話して聞かせた。

日本で仕事をしていた頃は、借金をしてまでバケーションに行くなんて考えられなかったけれど、アメリカに来てから私の感覚もかなり麻痺したようで、

「子供達はすぐ大きくなってしまう」

「さわこのお父さんやお母さんも、いつまで元気でいられるか分からない」

そんなジョンの言葉に非常に心が揺れてしまった。

もともと日本には行きたかった私。

結局その話にちょこんと乗ってしまい、銀行からお金を借りることに同意してしまった。

そんな矢先、

信じられないことが起こった。

私の職場の人事部から連絡があり、私が勤め始めた2009年からずっと私のお給料が間違った金額で支払われていたという。

毎月の差額自体は微々たるものだったけれど、それが7年にも及んだので、結局総額80万近くが戻ってくるという。

「えーっ!」





こうして私たちの日本行きが決まったのだった。


つづく



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我が家も…

こんにちは。
以前何度かコメントさせてもらっています、私も国際結婚で海外で子育てしている者です😃
今回のジョンさんの欠点について、私もうんうん、と頷きながら読ませてもらいました!私のヨーロッパ人の夫も「無頓着」でそこから「不潔」「忘れっぽい」「思慮の浅い発言」など派生して、私も子供たちも振り回されている節があるんです!
基本的には明るくてイイ奴なんですがね😅ジョンさんも今までブログを拝見していて素晴らしいお人柄にホレボレしていました(笑)でも人間誰しもパーフェクトじゃありませんでしたね(笑)少し安心しました(笑)さわこさんも同じ思いしてるのね!って。
お給料の件はビックリですね。まるで宝くじに当たったような!無事に日本に行けたことを願っています。続きが気になります。
それと、節約術というかお金に無頓着な旦那さんを持つ身として、さわこさんがどんなふうにやり繰りされているのか気になりました。私は夫の急な出費に備えてコツコツ隠れてヘソクリしています。
長文失礼しました。
良い週末を過ごされて下さいね。

Re: 我が家も…


Yokoさん

あははは。Yokoさんのところの旦那さんもジョンと似たような感じなんですね。
本当に小さなことばかりで人に話しても笑い話にしかならないんですが、それでも振り回される方は結構ムッと来ることがありますよね。
私も自分と同じような思いをしている人がヨーロッパにいてくれてうれしいです!

そしてお給料の件は、私たちも本当にビックリしました。
Yokoさんがおっしゃるように、正に宝くじに当たったような感じでした。しかもそのタイミングが!

ジョンが言ったように今回もまたお金のことはなんとかなってしまったので、これからも彼はこの態度を変えないのだろうなと思ってみたり。

私は特に節約術と呼べるようものはしていないのですが、一応家計簿はつけているし、とにかく無駄な買い物はしないようにしています(食べ物以外)。Yokoさんはへそくりをがんばっているんですね。
実は今回の姉の訪問は、姉が15年貯めたへそくりで来た旅行だったんです。チリも積もれば山になる。がんばってください!

これからもこのブログをよろしくお願いいたします!

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Re: うちも…


鍵コメさん、

またまたコメントをありがとうございます。
鍵コメさんのご主人、ジョンと似てますねー。特に何かと言い訳をするところ!
でも何となくとてもかわいい旦那さんのような気がします。
ご夫婦の仲がいいのでしょうね。
お子さんと犬に囲まれた生活がとても幸せそうです。

そして見ず知らずの私をご招待くださってありがとうございます!
でも今書いている記事は去年の夏のできごとなので、私たちが日本に帰国するのは今年の夏なんです。
娘さんの受験勉強の真っ最中ですね。

それに私の両親の家は東京近辺にあるので、残念ながら鍵コメさんのお宅からはちょっと離れています。
でも鍵コメさんのそのお心遣いだけでもとてもうれしいかったです。

これからも娘さんの受験の準備と、犬のシャンプーと、がんばってください!

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Re: 了解です


鍵コメ「n」さん、

あはは。そんなに色々計画を立てていただいてありがとうございます!
子供達をインターナショナルスクールに預けて、私たちは観光兼グルメ。いいですねぇ!

お嬢さんはインターナショナルスクールに通っていらっしゃるんですね。
色々な文化を学ぶことができてすごくいいと思います。

今回は無理そうですが、いつかお会いできたら本当にいいですね。

Re: タイトルなし


鍵コメ「け」さん、

そんな「興奮」だなんて。
急に有名人になった気分になってしまいましたよ!

私も鍵コメさんの職場を訪れて、色々参考にさせていただけたらどんなにいいかなと思います。
それに私も鍵コメさんのコメントに何度も励まされてきたので、ぜひ一度お会いできたらなとも思います。(きっと話がつきなくなりそうですね)

でもやはり一人で子供達をみないといけないのと、日本でのプロジェクトの準備をしなくてはいけないのとでちょっと難しそうです。

でも遠くからいつも鍵コメさんのお仕事の応援をしています。
これからもがんばってくださいね。




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さわこ

Author:さわこ
在米のさわこです。売春、ドラッグ、破談などの障害を越えてようやく家へきたノッコと風太の養子縁組のお話を綴っていきます。

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