姉家族の訪問

これは去年の夏ぐらいのお話です。


ある日久しぶりに日本にいる姉から電話がきて、「ねえ、8月にそっちに遊びに行きたいんだけどいい?」と急に持ちかけられた。

その日まであと数週間しかない。

「えっ! そんな急に? どうして?」

「うん、来年はアミが受験だし、行くなら今年しかないかなと思って。」

「こっちはいつでも大丈夫だよ。」

「じゃあ、飛行機のチケットを取ったら知らせるね。」

という感じで、突然姉家族(旦那さんは仕事で不参加)が遊びに来ることになった。

そのあと、「お父さんとお母さんも一緒に行くことになった」という展開があったけれど、どうやらその計画は予算不足でなくなったらしい。

姉家族が来ると聞いてからは、家中の大掃除と大量の買い物、観光地の下調べなどで私は大忙しになった。

そうしてあっという間に姉家族が遊びに来る日がやってきた。

姉には高校2年生の娘(アミ)と中学一年生の息子(カイ)がいる。

空港で二人を見た時、あんまりにも大きくなっていたので誰だか分からないくらいだった。彼らとその前あったのはもう3年前だから無理もない。アミは女の子というより、もう大人の女性のような感じがした。

その分姉が少し老けてなんとなく小さくなっていた。

姉たちの滞在は一週間とちょっと。

その間私は彼らを自分の仕事場に連れて行って「アメリカの仕事体験」をさせたり、2泊3日のキャンプに連れて行って、テントでみんなで寝たり、湖で泳いだりした。

姉はとにかく買い物が好きなので、モールやアウトレットに連れて行くのも忘れなかった。

夜はみんなが寝た後、姉と二人でいつまでも話が尽きず毎日12時を過ぎてもずっと話し続けた。

姉と話すのは本当に楽しく(特に美容院のお客さんの話)、姉がもっと近くに住んでいたらいいのになと何度も思ったりした。

以前ニューヨークに住んでいた頃、日本から友人や知り合いがしょっちゅう来ていたけれど、その中にはいかにも私のアパートをホテル代わりにし、私をツアーガイド扱いしている人がいて、ぜんぜんもてなす気になれなかったことがあった。でも姉たちの場合は、どんなことをしてでも彼女たちを喜ばせてあげたいという気持ちしかなく、相手によってもてなす側の気持ちも違ってくるんだなと思ったりした。

姉家族と一週間ちょっと一緒に過ごしてみて、いつくか気がついたことがあった。

それは姉の子供たちがあまりに大人しく、あまりに礼儀正しいということ。

もともと姉の子供たちは小さい頃から口数が少なく、聞き分けもよく、いわゆる「育てやすい子供たち」だった。

以前日本で姉家族とレストランで食事をしている時に、となりのテーブルで4歳ぐらいの女の子が癇癪を起こして泣いているのを見た姉は「私のアミちゃんは、一度もあんな風に愚図ったことなんかないわ。」と自慢げに言っていたのをよく覚えてる。

実際あみが小さい頃、彼女が愚図ったり泣いたりしているのを私も一度も見たことがなかった。だから子供なんてみんなそんなものなのだと思っていた。

自分がのちにノッコという子を育ててみるまでは。。

けれどそんな姉も学習障害のある弟のカイが生まれてから、障害のある子供を育てることの難しさを学んだらしく、手のかかる子供達に対して以前よりも理解を示すようになった。

学習面では障害のある甥も、ノッコとは違い性格はいたって素直で穏やかだった。

そしてまだ13歳だというのに、やたらと遠慮ばかりして何が食べたいとか何がやりたいとかをはっきり言わない。

それは姪のアミも同じで、いつも私やジョンに遠慮ばかりして、私たちに迷惑がかからないようにと気を使ってばかりいた。

思春期真っ最中なのに、反抗期の「反」の字もない感じだった。

普段とーってもうるさく、「これが食べたい!」「これがやりたい!」という欲求しかないノッコと風太に慣れていた私は、あまりに大人しい甥と姪を見て本当にビックリしてしまった。

でも二人は大人しい分、私たちが何をしてあげても、どこに連れて行ってあげても、本当に楽しんでいるのかどうかが分からないという部分もあって、それがちょっと物足りなくも感じることがあった。

結局子供はみんなそれぞれいいところ、そうでないところがあって、自分が育てている子供たちが一番いいという結論に達するのだろうと思ったりした。

そしてもう一つ私が気になったことは(全然大したことではないけれど)、甥の言葉遣いだった。

中学一年生の男の子としてはいたって普通の言葉遣いだったのだけれど、アミにからかわれた時などに言う「うるせーな」とか「あっち行けよ」などと言う言葉が私にはすごく新鮮だった。

私の周りで日本人の友人といったら女性しかいないし、ノッコの日本語学校でちょっと話す男性はみんな大人の男性なので、彼らは丁寧な言葉遣いしかしない。

だから甥の話すのを聞きながら

(そうだよなぁ、日本人の男の子ってこういう話し方するんだったよなー)と改めて思ったりした。

そして今はマショマロみたいにプクプクとかわいい風太が、もしも日本語が上手になったら自分のことを「オレ」なんて呼ぶのかなーなんて思ったら、なんとなく可笑しくなってしまった。

                           ◇

そんな風にして楽しく過ごした姉家族たちとの一週間があっと言う間に終わってしまった。

姉達が帰国する日、ノッコと風太が姉にハグをすると姉は急に泣きだしてしまった。

そしてそれを見た私も涙腺崩壊。

そんな私たちを見ていたあみの目もだんだん赤くなってきた。

かろうじてカイはぐっと堪えていたようだったけれど、やっぱりジーンとくるものがあったようだった。

アミは本当にやさしい子で、子供達ともたくさん遊んでくれた。そしてそんなアミがノッコは大好きだった。

風太も初めてできたお兄ちゃんであるカイにべったりで、いつも「レゴで遊ぼう」とレゴを持ち出してきていた。

そんなに懐いてくれたノッコと風太と別れるのが二人ともやっぱりさびしいのか、妙にしんみりとした表情をしていた。

そして私も、そんなアミや姉たちに次に会えるのはいつだろうと思うと、やはり別れが惜しくて仕方がなかった。

「近いうちに、また日本に遊びに行くから。」

私がそう言うと、姉は

「うん、本当にありがとね。」と言って、手を振りながら去っていった。

家に帰ってから姉達の使っていた部屋を掃除していると、私宛の手紙があった。

姉からのものだった。

そこには今回の滞在が自分にとっても子供達にとってもどんなに楽しいものだったか、ノッコと風太と久しぶりに会えてうれしかったこと(ジョンもね)、私が幸せそうで安心したことなどが書いてあった。

そして〇〇ちゃん(亡くなったもう一人の姉)がいたら、どんなによかったかな、とも書いてあった。

そこで私はまたもや涙腺崩壊。


家族って、

やっぱりすごくいいなと思った。

どんなに遠くに住んでいても、どんなに長い間連絡を取らなくても、けして消えることのない絆。

姉との間には、そんな絆がある。

私はそのことに感謝しつつ

姉からの手紙をそっと引き出しにしまった。


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Re: No title


鍵コメさん、

コメントありがとうございました!

そうでしょー!
あのビデオ笑えますよね。
私もスカイプで仕事の面接をしていた時に急にノッコがドアをガチャガチャやったことがあったんです。それでも開かないのでノッコがドアの向こうで「ママ〜」って大泣きをしだしたので、あの時のケリー教授の気持ちがよく分かりました。

あの女の子がノッコ、ウォーカーに乗って入ってきた赤ちゃんが風太と重なってしまって、もうお腹がよじれるくらいおかしかったです。(そしてあの台風のような奥さん!)

でもYoutubeのコメントを読むと、みんな割と批判的なものが多かったので驚きました。
ケリー教授が娘さんを押しやったことや、奥さんが子供の手をひっぱったことなど。
それにみんなが奥さんのことを「ナニー」と呼んでいたのにもビックリ。
私もすぐにジョンに「偏見じゃないか」と話したところです。
でも鍵コメさんがいうように、それはナニーという仕事自体に偏見があるからなんですよね。

そしてホームレスの件ですが、私も今回はノッコにあまりつっこんで説明はしませんでした。
ノッコにはきっとまだ分からないだろうと思ったし、確かにジェシカのこともあったので。
今はまだ「ホームレスは食べ物やお家のないかわいそうな人たち」でいいかなと思っています。
彼女達がもう少し成長したら、少しずつ説明していこうと思っています。

それから姉の滞在の記事。
今はグローバルな時代ですから、海外に出て生活をしている人が本当に多いですね。
鍵コメさんの身内にもいらっしゃるんですね。
普段はそんなに会えなくてさびしいと思うことはないんですが、久しぶりに姉なんかに会えるとやはり(もっと近くに住んでいたら)と思ってしまいますよね。
そしてさすが鍵コメさん、するどい!

以前たしか甥についての記事を書いたと思ったのに、どうしてもそれが見つからなくて甥の名前を「太郎」にしてしまいました。(ちなみに私のブログに登場する人たちはすべて偽名です)
そうそう、以前書いた時は「カイ」という名前にしたんですよね。
どうせ誰も覚えていないだろうと思っていたのに。
鍵コメさんのその記憶力にざぶとん10枚!

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Re: 涙が出ました



鍵コメさん、

コメントをありがとうございました。
今お返事を書こうと思ったのですが、ちょっと急用が入ってしまいました。
急いで返事を書くのは嫌なので、明日一番でお返事させていただきたいと思います。

すみませんが、もう少しお待ちください。

Re: 涙が出ました


鍵コメさん、

お返事が遅くなってすみませんでした。
そしてこの返事が公開になってしまうことをお許しください。

私も育児に行き詰まった時、よく他の方のブログを読んで自分を振り返ることがあるので、このブログが鍵コメさんのお役に立てたと聞いてとてもうれしいです。

娘さんもノッコと同じ問題を抱えていたということで、胸中お察しします。
大勢の前で自慰行為をされると、本当穴があったら入りたいくらい恥ずかしいんですよねー。
でも鍵コメさんもご存知だと思いますが、幼児の自慰行為はいたって普通のことで、子供が成長するために大切なことだそうです。
だからやはり声かけをしながら見守っていくのが一番いいと私も思います。

ただノッコの時もそうでしたが、自慰行為と子供が感じているストレスとは関係があるようですね。
緊張したり、不安になったり、疲れていたり、そういう時によくしてしまうらしいので、その精神的な原因を取り除いてあげると回数も減るみたいです。大人と違って子供の場合は、性的なものというより、おしゃぶりのように「癒し」や「安心」のための行為なのかなと思っています。

だから鍵コメさんのお嬢さんの場合は、もしかしたら勉強からくるストレスにも原因があるのかもしれませんね。
私は事情を知りませんが、鍵コメさん自身がちょっとスローダウンして娘さんと向き合うことにしたのはとてもいいことじゃないかなと思いました。

子育ては本当に山あり谷ありですが、お互いにがんばりましょうね!

これからもよろしくお願いいたします!

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さわこ

Author:さわこ
在米のさわこです。売春、ドラッグ、破談などの障害を越えてようやく家へきたノッコと風太の養子縁組のお話を綴っていきます。

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