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母の日に、、

ノッコが一年生をもう一度繰り返すことになったエピソードを書き終わったので、また半年ぐらい前に戻って当時のことを綴っていきたいと思います。

皆さまどうぞお付き合いくださいませ。

                  ◇

もうすぐ母の日が近づいているある日のことだった。

私は毎年母の日には、日本の母に「おめでとう」と電話し、ジョンのお母さんにはちょっとしたプレゼントとカードを送ることにしていた。

ノッコや風太が絵を描いたり字が書けるようになってからは、二人にも何か描いてもらってそれを同封するようにしていた。

「ねえノッコちゃん、風太くん、もうすぐ母の日だからママはグランマにプレゼントを贈りたいんだ。二人も何かお手紙や絵を書いてくれるかな?」

「うん。」

そう言ってノッコと風太は、早速自分のお手紙用の紙を持ってきた。

以前に比べるとずっと絵も上手に書けるようになってきたし、短い文章なら私が手伝わなくても書けるようになってきたノッコ。

それでもやっぱり絵は5歳児の様なシンプルなもので、単語のスペルも間違いだらけ。

風太もはりきって自分の名前を書こうとしていたけれど、アルファベットが逆さになっちゃうし、文字の順番もぐちゃぐちゃなのでどうしても彼の名前のように見えない。

でもやさしいグランマは、そんな二人の手紙を受け取るといつもうれしそうに「ありがとう」と言ってくれるのだった。

グランマへの手紙を書き終わったノッコは、「あっ、そうだ!」と言って、カバンから何やらゴソゴソと出してきた。

「何それ?」

「日本語学校の宿題。」

「何の宿題?」

「母の日が来るから、お母さんに日本語で手紙書くの。ママ手伝って!」

「だってママのために書く手紙でしょ。じゃあ、自分で考えて書かなくちゃ。」

「ノッコ日本語だと書けないんだもん。ねえ、ママ手伝って!」

「じゃあ、できるところまで自分で書いて、分からなくなったらママが手伝ってあげる。いい?」

私がそう言うとノッコは渋々日本語で「ママへ」と書き始めた。

けれどそのあと鉛筆で消しゴムに穴をあけたり、練習用の紙の角を黒く塗ったりして一向にその先に進むことができなかった。

「ノッコちゃん、ママへって書いたあと何を書きたいの?」

「分かんない。」

「何かママに伝えたいことないの?」

「分かんないー! ねえ、ママ教えて!」

(どうして私宛の手紙を私が考えてあげなくちゃいけないんだ!)と思いながらも、ノッコの日本語能力では日本語で手紙を書けないのは分かっていたので、私は「はい、はい、」と言って手伝ってあげることにした。

「じゃあ、まず何かママにありがとうって言いたいことないの?」

「うーん」

しばらく考えていたノッコは、

「朝、ノッコと一緒に学校まで歩いてくれること」と言った。

「そう? じゃあ、それを書いたらいいんじゃない?」

「日本語で何ていうの?」

「schoolは?」

「学校」

「じゃあ、to walkは?」

「歩く」

「Thank you は?」

「ありがと」

「じゃあ、それを一緒にすると?」

「歩くの学校ありがと?」

(なんじゃ、そりゃ)

「学校まで一緒に歩いてくれてありがとう、だよ。」

私がそう言うと、ノッコはそれを一生懸命紙に書き始めた。

けれどしばらくすると、ノッコは動かしていた鉛筆を止めて急に下を向いてしまった。

「どうしたの、ノッコちゃん?」

私がノッコの顔を覗くと、ノッコはポロポロと涙を流していた。

「どうしたの、ノッコちゃん?」

私はビックリしてもう一度そう訊いてみた。

するとノッコは小さな声で

「I miss Jessica」 と言った。

「ノッコちゃん、、、、」

「ノッコ、ジェシカにもう一度会いたい。もう一度ハグして欲しい。」

そう言ってノッコは涙をぬぐいながらしゃくり上げ始めた。

その時私は、ノッコの中でジェシカという存在が変わり始めていることに気付いた。

今までノッコは、ジェシカが自分の産みのお母さんだということは知っていたけれど、それが一体どういう意味を持つのかよく分かっていなかった。

だからジェシカはママとパパの友人という感じで彼女と接していた。

けれど6歳になったノッコは、本当に漠然とだけれど「血のつながり」というのもが何なのか理解できるようになったのだと思った。

だからジェシカはただの知り合いではなく、自分と血の繋がりのあるかけがえのない人、母親だということが感覚として分かったのだと思った。

それでなかったら、母の日の手紙を書いている時に急にジェシカのことを思い出したりしないだろうと思った。

「ママ、ジェシカ、、死んじゃったの、、ノッコ、ジェシカに会いたい。ヒック、、、もう一度ハグして欲しい。」

ノッコは何度も同じセリフを繰り返しながら、泣きじゃくった。

「じゃあ、ジェシカにもお手紙を書いてあげる?」

そう訊いてみたけれど、ノッコは首を振った。

(これからノッコは一生ジェシカに会うことはできないんだ。)

(母の日に「おめでとう」と言ってあげることもできない。)

ノッコはこれから何度こうやってジェシカを想って涙するのだろう。

そんな事を考えながら、私もジェシカがギューっとしてくれる温かいハグを思い出した。

「ママもジェシカに会いたいよ。」

そう言って私はノッコを抱きしめた。


それ以外にノッコのために何ができるのか、その時の私には分からなかった。


IMG_5131.jpg
ノッコが5歳の時に描いたジェシカの絵
シンプルだけど、温かい


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さわこ

Author:さわこ
在米のさわこです。売春、ドラッグ、破談などの障害を越えてようやく家へきたノッコと風太の養子縁組のお話を綴っていきます。

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