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産みのお母さんの自殺未遂

* これは一年前のお話です。


今年もノッコの誕生日が近づいてきたので、いつものようにジェシカに電話をして会う約束をした。

去年同様ジョンが中国出張で不在だったので、私とジェシカと子供達の4人で出かけることになった。

もともとジェシカは動物園に行きたがっていたのだけれど、会う約束をしたその日はあいにく雨だったので、急遽子供のための博物館に行く事にした。

そこは博物館といっても展示物をみて歩くところではなく、ボールを投げ入れて遊ぶ遊具や、水遊びの場所、子供達が走り回れる場所など、ノッコや風太が喜びそうなものがたくさんあるプレイグラウンドのような所だった。

ジェシカはまず2歳になってたくさんしゃべるようになった風太にビックリしていた。特に「We go museum 」とか「 We play playground 」など “museum” という言葉まで知っていたことにとても驚いていた。

なんでもノッコと同じ事をやりたがる風太は、彼女に負けないように一生懸命速く走ろうとしたり、遠くへボールを投げようとしてがんばっていた。

その姿がおかしくて、ジェシカと二人で何度もお腹をかかえて笑い合った。

ただジェシカは以前よりも疲れやすくなったのか、子供達と少し遊ぶとすぐにベンチに座って休んでいた。

ジェシカと初めて会った頃彼女はまだ26歳で「若いなぁ」と思っていたけれど、今はもう30歳を過ぎて、しかもあの頃より1.5倍は太ってしまったので体力もかなり落ちてしまったようだった。

ジェシカがゼーゼーいいながらベンチに座る度に、(もっとちゃんとした食生活を送って、もっと運動もすれば、彼女の健康状態もかなりよくなるだろうに)と思ったりした。

たっぷり遊んだ子供達が「お腹すいた」というので、そろそろランチを食べる事にした。

その博物館には小さなカフェテリアがあったのだけれど、そこの食べ物は本当に最悪なのを知っていたので、私は予め子供達とジェシカの分のサンドイッチを作って来ていた。

けれどジェシカは、「私あまり外食することってないから、できればカフェテリアで食べ物を買いたいんだけど」と言うので、「いいよ」と言ってジェシカの好きな物を買ってあげた。

「外で食べる」というのが本当にうれしいようで、ジェシカはオーダーしたピザとペプシを幸せそうに口にしていた。

ランチの後ジェシカはもっと遊びたそうだったけれど、そろそろ風太のお昼寝の時間だったので私達はそのままジェシカのお家に行く事にした。

ジェシカはノッコへの誕生日プレゼントを用意してあるので、それをそこで渡したいと言っていた。

ジェシカの家に着くと、彼女は買っておいたシャボン玉をノッコと一緒にやりたいと言い出した。

確かに雨はもう止んでいたけれど、代わりに風が出て来て半袖ではちょっと肌寒いくらいだったので私は気が進まなかったのだけれど、ノッコも「やりたい!」と騒ぐので二人で庭でやらせることにした。

車の中で風太が寝てしまったので、私は風太を抱っこしてジェシカの家の中に入った。

家に入るとポールがソファーに座っていて、私を見ると「ハーイ」と言った。

風太を眠らせるためにソファーにスペースを作ってくれたので、私はそこに風太を寝かせた。

ポールが「博物館はどうだった」と訊いてきたので、「楽しかったよ」と答えた後、二人で他愛ない会話をした。

すると突然ポールが立ち上がってドアの方へ行き、ジェシカがまだ遊んでいるのを確認してから、指で私に「こっちへ来て」という合図をした。

私はポールがどうして私を奥の部屋へ連れて行こうとしているのかが分からなくて、一瞬戸惑った。

ポールへの印象は以前に比べるとずっとよくなったけれど、それでも彼については分からないことがまだ多く100%信用している訳ではなかった。

それでもポールが「見せたいものがある」と言ってもう一度私を奥の部屋に誘ったので、私は付いて行く事にした。

彼の家には3つベッドルームがあって、その奥の方がポールとジェシカの寝室になっていた。

彼らの寝室に入るとポールはチェストの一番上の引き出しに鍵を差し込んでそれを開けた。

そして「これを見てみろ」という仕草をしたので、私もそばに寄って見てみた。

するとその引き出しには、ドクターから処方された薬が10個以上も入っていた。

「これはなあに?」

「これは全てジェシカの薬だよ。ほとんどが強い痛み止めなんだ。」

「ジェシカはこんなにたくさんの薬を毎日飲んでるの?」

「そうだよ。お腹が痛いとか、脚が痛いとか、いつも身体のどこかを痛がっているからね。私がいつも決められた量を彼女に渡しているんだ。」

「そう。 でもどうして鍵なんてかけてるの?」

「ジェシカが勝手にたくさん飲んでしまうからだよ。」

そう言ってから彼はしばらくだまってしまった。

そうして思い切ったように、

「実はこの間、ジェシカはバスルームにあったこれらの薬を大量に飲んで自殺を図ったんだよ。」と言った。

「えっ?」

私は一瞬、自分が何を言われているのかよく分からなかった。

「自殺って?」

「うん、意識が朦朧として病院に運ばれたんだよ。本人はアクシデントだって言ってたけれど、間違いであんなにたくさんの量を飲んだりしないよ。あれは絶対に死ぬつもりだったんだ。」

「でもどうして?」

「ジェシカはとにかく鬱がすごいんだよ。元気な時は元気だけれど、鬱になるともう手の付けようがないんだ。」

「そうなんだ、、、」

これは私には全く意外なニュースだった。

ジェシカにbipolarの障害があることは聞いていたけれど、 私が彼女に電話する時ジェシカはいつも普通のジェシカだったし、こうして会う時は必ず元気いっぱいだったので、私は未だにジェシカが鬱の状態を見た事がなかった。

いつもノッコや風太と遊べるのがうれしくて仕方がないようだったし、例え落ち込んだりすることがあったとしてもそんなに深刻なものだとは思ってもいなかった。

なのに自殺未遂だなんて、、、

その時私はとにかく頭が混乱してしまって、何を最初に考えたらいいのか分からなかった。

彼女は以前、自分のフェイスブックにノッコと自分の写真を載せて「the reason for my life」と書いていたことがあった。

そんな風に唯一ジェシカに生きる意味を与えていたノッコの存在さえも、彼女を救うことはできなかったんだ。

その事を考えるとショックで何も言葉が出て来なかった。

その時ふと、以前このブログの中で「ノッコの産みのお母さんは明るくあっけらかんとしているから楽なんです。」というようなことを書いたのを思い出した。

明るくてあっけらかんとしている?

彼女がその明るいマスクの下に隠し持っていた暗い部分に少しも気付きもしないで。

私は何を言っていたんだろう。

ジェシカはこの5年間、本当はどれくらい苦しんできたんだろう。

そんな風に呑気に「あっけらかんとしていて楽」などと自慢げにブログに書いていた自分に急に怒りが沸き、その頬にビンタを食らわせたいような気持ちになった。

でもこの気持ちを何にどうぶつけたらいいのか、その時の私には自分でもよく分からなかった。

つづく、、、




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さわこ

Author:さわこ
在米のさわこです。売春、ドラッグ、破談などの障害を越えてようやく家へきたノッコと風太の養子縁組のお話を綴っていきます。

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